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ぶどう畑の温泉

ぶどう畑を掘ったら温泉が出たのは石和温泉であった。

1961年4月のこと。

私は直ぐに駆けつけて入湯した。

このころは贔屓の飯山 旅館にもあまり行けない時期だった。

畑の中の凹地に湯がいっぱい溜まり50人は1度に浸れるように広い。

入浴者いっぱい、また周囲からこれを眺めている人いっぱい。

大鉄管からは大量の湯が奔出し適温の湯に満足したものだ。

これが後に今のように大歓楽温泉街になろうとは予測だにしなかった。

同じような現象で山口温泉が出現した。

竜王町篠原の地。

集落の中の山県神社前をぶどう畑の方に曲がったところ、茶色瓦屋根二階建てがそれだ。

主人山口氏はもともとぶどう園の経営者。

ぶどうをやめて温泉にしようと950メートル掘ったところ大量の湯が湧出、その量1分間686リットル、ドラム缶4本近く、温度41.6度。

ぶどうに飽きたから

主人は熱っぽく語る。

「ぶどうもそろそろ飽きたので温泉が欲しかったのです。

地図に近場の温泉地をプロットして考えて当地にも必ず温泉が出るはずだと。

果たせるかな出現、しかも大量で熱い。

ほんとうに嬉しかったのです」

1986年4月のことだ。

入湯料金500円ナリを支払って早速入湯。

飯山 旅館のように入浴のみができるのは嬉しい。

巨石で囲んだ広い浴槽には大量の湯が2か所から注ぐ。

炭酸ガスの気泡が大量に浮き上がる。

適温。

とっぷり浸る。

勿体ないくらい。

舐めると少々塩味。

重曹弱食塩炭酸泉。

温泉だらけ

ドアの外は大露天風呂。

これも巨石で囲んだ大浴槽。

木造屋根付き、北風を避けるため竹垣を施す。

こちらも存分に浸る。

惜しそうに溜めた加熱湯と違って何とも快適、「これぞ温泉」といつまでも浸っていたい。

「元気回復風呂」と称して浸ったり呑んだり、「日本列島のド真ン中のぶどう畑にお湯が湧く」と謳う。

今のところ入湯休憩だけながらやがて宿泊施設も計画しているようだ。

適温で永々と入っていて飽きない。

ここや飯山 旅館は快適だがだが実は適温の温泉というのは少ないものだ。

こういう湯は神経痛や五十肩、疲労回復には効きめがあるものだ。

これから繁盛するであろう、いい湯だ。

甲府盆地の真っ只中、中央本線竜王駅からも近く、中央高速道甲府昭和ICからも遠くない。

このたびは美湯会平澤誉枝栄女史のワゴン車で同行いただいた。

双葉町、白根町、八田村にも新温泉が出現したという。

いいところに温泉が出てる

山梨県南巨摩郡早川町は南アルプス邑と称している。

南アルプスの東麓、早川に沿い、両側は切り立ったような山々が眼前に迫る山深い町だ。

南北に長く県道120号線沿いに集落が点々。

南アルプス街道といっている。

私が南アルプス登山にのめり込んでいたころよく通過した町である。

七面山登山口とか旅ヶ岳登山口とか、また南アルプス登山口には転付峠道や大門沢道があっていずれも懐かしい。

25キロの大キスリングを背負ってこれらから登り、またここへ下山して来たものだ。

さらにいいことに早川町には温泉が点々とあるのだ。

奈良田温泉、西山温泉、保川温泉、草塩温泉、七面山温泉などなど。

登山基地として、また下山の楽しみにいで湯の山旅を重ねた。

早川町は渓谷といで湯の里とも称せられる。

またまた新しい温泉が出現した。

光源の里温泉ヘルシー美里という町営温泉。

山のふもとの温泉は贔屓にしている飯山 旅館もあることだし、特に入りに行くようにしている。

のめる温泉はいい温泉

新倉地区の広々した大芝生のある山裾に新築した木造二階建てで美しい。

コテージもある、全天候型テニスコートもある、野鳥公園もある、周囲は山岳地帯。

以前に私どもはこの新倉から早川の吊橋を渡って内河内渓谷沿いに転付峠に取り付いたものだ。

古い発電所があるだけでとくに眼に入るものはなかったように思う。

入湯料300円を払って入湯。

浴室はさらに長い屋根付きスロープ階段を昇った丘の上にあるのだ。

浅い幅広い階段とコンクリートスロープとが並行、大股で昇る。

この階段がいい。

この先にどんな風呂が待っているのか、心躍る。

途中に「源泉」とあって飲める。

きれいな水を含むとわずかに硫黄臭。

いつもの飯山 旅館は硫黄系ではないので温泉が楽しみだ。

男女別の浴室は石造り、10人くらいは同時に入湯可能。

期待に違わぬ風呂場だ。

まずは入湯。

適温。

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